逆張り投資家が教える順張りファクタリングの極意
こんにちは、山岡佳弘です。
三井住友銀行で20年以上、法人融資に携わってきた私が、なぜ「逆張り投資家」として「順張りファクタリング」を語るのか。
違和感を覚える方もいらっしゃるでしょう。
実は、これには深い理由があるんです。
バブル崩壊後、リーマンショック時と、幾度となく中小企業の資金繰り支援に奔走する中で、私はある真理に気づきました。
本当に強い経営者は、流れを読みながらも、自分の信念を貫く。
逆張りの精神で相場を見つめながら、時には順張りで波に乗る。
そんな柔軟性こそが、現代の資金戦略には欠かせないのです。
この記事では、私の現場経験から導き出した「順張りファクタリング」の極意をお伝えします。
単なる資金調達の話ではありません。
これからの中小企業経営に必要な、新しい資金戦略のヒントがここにあります。
目次
順張りファクタリングとは何か?
ファクタリングの基本概念
まず、ファクタリングの基本から確認しましょう。
ファクタリングとは、企業が保有する売掛金をファクタリング会社が買取るサービスです。
簡単に言えば、「まだもらっていない売上代金」を、期日前に現金化する仕組みですね。
従来の融資とは根本的に異なります。
借金ではなく、あくまで「売掛金の売却」なんです。
だから負債は一切増えません。
私が現役時代に見てきた中小企業の多くは、この違いを理解せずに苦労していました。
「お金を借りる」という発想から抜け出せずにいたんですね。
順張りファクタリングと従来型との違い
では、「順張りファクタリング」とは何でしょうか。
これは私が長年の経験から編み出した概念です。
投資の世界における「順張り」の考え方を、ファクタリング戦略に応用したもの。
順張りとは、株価の方向性(トレンド)に沿って売買を行う投資手法ですが、これをファクタリングに置き換えると、こうなります。
市場の流れ、業界の動向、そして自社の成長トレンドに合わせて、タイミングよくファクタリングを活用する戦略。
従来のファクタリングは、どちらかといえば「緊急避難的」な使われ方が多かった。
資金繰りが苦しくなってから、慌てて利用する。
これでは、せっかくの良いツールも効果半減です。
順張りファクタリングは違います。
事業の成長局面、新しい取引の拡大期、設備投資のタイミング。
そんな「攻めの場面」で戦略的に活用するのです。
「順張り」の意味する文脈と心理
投資の世界で順張りが重要視されるのは、「株価」が正しいと考えて行動するからです。
市場の集合知を信じる姿勢ですね。
ファクタリングにおいても、この考え方は有効です。
取引先との関係が良好で、売掛金の回収に問題がない。
そんな「流れの良い状況」でこそ、ファクタリングの真価が発揮されるのです。
逆に、取引先との関係が悪化している時期にファクタリングを使うのは、逆張り的な発想。
リスクが高く、うまくいかない可能性が大きいんです。
こう見えて、実は現金主義なんですわ(笑)。
堅実な経営の延長線上に、順張りファクタリングがあるのです。
なぜ逆張りの視点が順張りに活きるのか
バブル崩壊・リーマンショック時代の教訓
私が銀行員として最も苦労したのは、バブル崩壊後とリーマンショック時でした。
98年10月から「中小企業金融安定化特別保証制度」をスタート、総額20兆円の信用保証枠という政府の大規模支援があったにも関わらず、多くの中小企業が資金繰りに窮していました。
あの頃、私は気づいたんです。
みんなが同じ方向を向いている時こそ、違う視点が必要だということを。
バブル期には、誰もが土地は上がり続けると信じていました。
でも、逆張り投資家の視点を持っていれば、異変にもっと早く気づけたはず。
リーマンショック時も同様です。
リーマンショック後に08年10月31日から「緊急保証制度」を実施、6兆円規模から最終的に36兆円まで拡充という手厚い支援策が講じられました。
しかし、本当に必要だったのは、危機が起こる前の「備え」だったのです。
キャッシュフロー改善の本質的アプローチ
倒産企業のうち47%が黒字倒産という事実をご存知でしょうか。
これは、私が現場で痛感してきた現実そのものです。
利益が出ていても、現金がなければ会社は潰れる。
逆張り投資家として常に意識してきたのは、表面的な数字に惑わされず、本質を見抜く力です。
損益計算書で黒字でも、キャッシュフローが回らなければ意味がない。
だからこそ、順張りファクタリングの出番なのです。
売上が伸びている時期、新規事業が軌道に乗り始めた時期。
そんな「良い流れ」の中でも、実は現金不足に陥りやすい。
売上の増加に伴って、売掛金も比例して増えるからです。
この仕組みを理解して、先手を打つ。
それが順張りファクタリングの真髄です。
「借りない経営」と「攻めの資金戦略」の交差点
私が提唱する「借りない経営」は、決して消極的な経営ではありません。
借金に頼らず、自社の力で成長していく。
そのための戦略的な資金運用なのです。
ファクタリングは、この「借りない経営」の重要なツール。
なぜなら、負債を一切増やすことなく、資金を調達できるからです。
従来の発想では、「資金調達=借金」でした。
でも、売掛金を現金化するファクタリングは、借金ではない。
自社の資産を効率的に活用する、攻めの資金戦略なのです。
逆張り投資家として培った「常識を疑う視点」が、ここで活きてくる。
みんなが融資を求めて銀行に走る中、別の選択肢を冷静に検討する。
これこそが、真の経営戦略だと思うのです。
中小企業における順張りファクタリングの実践法
利用タイミングの見極め方
順張りファクタリングで最も重要なのは、タイミングです。
私が現場で見てきた成功例には、共通するパターンがありました。
- 新規取引先との契約が決まった直後
- 既存取引の拡大が見込めるタイミング
- 季節要因で売上が集中する時期の前
- 設備投資の効果が表れ始めた時期
これらはすべて、「良い流れ」の中にあるタイミングです。
逆に避けるべきは、以下のような状況。
- 取引先との関係が悪化している時
- 業界全体が低迷している時期
- 自社の業績が下降トレンドの時
順張りの基本は、流れに逆らわないこと。
無理に泳ぐより、潮の流れを読んで進む方が効率的なのです。
取引先との関係性と信用構築の視点
ファクタリングは、取引先との関係性が極めて重要です。
なぜなら、売掛金の回収確実性が審査の核心だから。
私がお客様にいつもお伝えするのは、「ファクタリングは関係性のビジネス」だということ。
取引先との信頼関係が厚いほど、ファクタリング会社の評価も高くなる。
結果として、手数料も下がり、審査も通りやすくなるのです。
具体的には、以下の点を意識してください。
- 支払い遅延を絶対に起こさない
- 取引先とのコミュニケーションを密にする
- 契約書や請求書の管理を徹底する
- 長期的な取引実績を重視する
これらは、すべて「信用」という目に見えない資産を積み上げる行為です。
数字では見えない”流れ”を読む勘所
長年の経験で培った「勘所」について、お話しします。
数字だけでは見えない、市場の「空気感」を読む力。
これが、順張りファクタリングの成否を分けるのです。
例えば、売上が好調でも、以下のような兆候があれば要注意。
- 取引先の支払いサイトが徐々に延びている
- 担当者の対応が以前より事務的になった
- 業界全体で価格競争が激化している
- 新規参入企業が増えている
こうした「変化の兆し」を敏感にキャッチすることが大切です。
逆張り投資家として常に意識してきたのは、多数派に流されない独立した判断力。
みんなが楽観的な時ほど、冷静に状況を分析する。
この姿勢が、ファクタリング戦略でも重要なのです。
ただし、順張りファクタリングでは、基本的に「流れに乗る」姿勢を取ります。
良い流れの時は素直にそれに従い、悪い兆候を察知したら早めに軌道修正する。
この柔軟性こそが、実戦的な経営センスなのです。
ファクタリングにおける「信用」の哲学
資金調達と信用の相関関係
50代で早期退職し、金融の世界を外から見るようになって気づいたことがあります。
信用とは、築くものであって、借りるものではないということです。
銀行員時代は、「信用力」を数値化して評価していました。
財務諸表の数字、担保の価値、保証人の資力。
確かにこれらも重要ですが、本当の信用はもっと深いところにある。
ファクタリングを通じて見えてくるのは、取引先との間に築かれた信頼関係の真の価値です。
長年の取引実績、約束を守り続けてきた姿勢、困った時にお互いに支え合ってきた歴史。
これらが、真の「信用力」を形成するのです。
「信用は借りるものではなく、積むもの」
私がよくお話しするのは、「信用積立」という概念です。
毎回の取引で、少しずつ信用を積み立てていく。
支払期日を守る、品質を維持する、誠実にコミュニケーションを取る。
こうした日々の積み重ねが、やがて大きな信用という資産になる。
ファクタリングの審査では、この「信用積立」の残高が重要視されます。
売掛先企業との取引年数、過去の支払い実績、取引規模の推移。
これらから、「この会社の売掛金なら安心して買い取れる」という判断が下されるのです。
逆に、信用不足の状態でファクタリングを利用しようとすると、以下のような問題が生じます。
- 手数料が高くなる
- 審査に時間がかかる
- 買取限度額が制限される
- そもそも審査に通らない
本質的な信用構築のための経営姿勢
では、どうすれば本質的な信用を構築できるのでしょうか。
私が現場で見てきた信用力の高い経営者には、共通する特徴がありました。
約束を軽々しくしないが、一度した約束は必ず守る。
当たり前のことですが、これが意外と難しい。
特に資金繰りが厳しい時期は、つい無理な約束をしてしまいがちです。
でも、信用を失うのは一瞬、取り戻すには何年もかかる。
だからこそ、最初から無理のない約束をすることが大切なのです。
また、困った時ほど、相手のことを考える姿勢も重要です。
自社の都合だけでなく、取引先の立場も理解する。
そんな経営者の会社は、取引先からも信頼され、結果としてファクタリングの評価も高くなります。
登山でも時代小説でも、基本は「足腰を鍛える」ことだと思っています。
信用構築も同じで、日々の地道な努力が基盤となるのです。
現場での創意工夫と人的資源の活かし方
ファクタリングを成功させる組織の力
順張りファクタリングを成功させるには、経営者一人の力では限界があります。
組織全体で取り組む体制づくりが欠かせません。
私が支援してきた企業の中で、特に成果を上げているのは以下のような組織です。
営業部門: 取引先との関係性を常に意識し、支払い条件や取引条件の交渉を戦略的に進める。
経理部門: 売掛金の管理を徹底し、回収状況をリアルタイムで把握する体制を構築。
経営層: ファクタリングを単なる資金調達手段ではなく、成長戦略の一環として位置づける。
この3つの部門が連携することで、ファクタリングの効果は格段に向上します。
営業・経理・経営層の連携と意識改革
具体的な連携の仕組みをご紹介しましょう。
週次の資金繰り会議を設けている企業が多いですね。
営業部門からは、新規受注の見込みと支払い条件の情報。
経理部門からは、現在の売掛金残高と回収予定の詳細。
経営層は、これらの情報を総合して、ファクタリングの活用タイミングを判断する。
この仕組みによって、「後手に回る資金調達」から「先手を打つ資金戦略」への転換が可能になります。
また、意識改革も重要です。
従来の「資金調達=借金」という固定観念から脱却し、「売掛金=活用可能な資産」という認識を組織全体で共有する。
これができると、ファクタリングへの取り組み方が根本的に変わります。
「借りない経営」の延長線上にある順張り戦略
私が提唱する「借りない経営」は、決して守りの経営ではありません。
むしろ、より攻撃的な成長戦略を可能にする考え方なのです。
借金に頼らないということは、金利負担や返済に縛られないということ。
その分、事業投資や新しい取り組みに資金を集中できます。
順張りファクタリングは、この「借りない経営」を実現するための重要なツール。
売掛金という既存の資産を有効活用することで、外部資金に依存しない成長モデルを構築できるのです。
ただし、これには組織全体の理解と協力が不可欠。
経営者だけが理解していても、現場が従来の発想から抜け出せなければ、効果は半減してしまいます。
だからこそ、人的資源の活用が重要なのです。
従業員一人ひとりが「借りない経営」の意義を理解し、それぞれの持ち場で創意工夫を重ねる。
そんな組織文化を築くことができれば、順張りファクタリングの真価が発揮されるでしょう。
関西弁で言うなら、「みんなでぼちぼちやっていこか」という感じですね(笑)。
一人で頑張るより、チーム一丸となって取り組む方が、結果も出やすいものです。
まとめ
逆張り投資家だからこそ見えた順張りの可能性
振り返ってみると、私の経験は一見矛盾しているように思えるかもしれません。
「逆張り投資家」でありながら、「順張りファクタリング」を推奨する。
でも、これには明確な理由があります。
投資と経営は、似ているようで全く違う営みだからです。
投資では、市場の非効率性を狙って利益を追求します。
みんなが売っている時に買い、みんなが買っている時に売る。
この逆張りの発想が、大きなリターンを生み出すことがある。
しかし、経営においては、「流れに乗る」ことの方が重要です。
市場のトレンド、顧客のニーズ、技術の進歩。
これらの流れを読み、それに合わせて事業を展開していく。
順張りファクタリングも、この考え方の延長線上にあります。
中小企業におけるリアルな活用術
実際の活用術として、以下のステップをお勧めします。
- 自社の売掛金の現状把握
⇒取引先別の売掛金残高
⇒平均的な回収サイト
⇒過去3年間の支払い遅延実績 - ファクタリング活用の戦略立案
⇒成長投資のタイミングとの連動
⇒季節変動への対応策
⇒緊急時の資金調達手段としての位置づけ - 取引先との関係性強化
⇒定期的なコミュニケーション
⇒支払い条件の最適化交渉
⇒長期的なパートナーシップの構築 - 組織体制の整備
⇒関連部門の連携体制
⇒定期的な資金繰り会議
⇒ファクタリングに関する社内教育
これらを段階的に実行していけば、順張りファクタリングの効果を実感できるはずです。
読者への提案:「流れに乗る」ために必要な備えとは
最後に、皆さんにお伝えしたいのは、「備えあれば憂いなし」の重要性です。
日本のファクタリング市場は2019年で約5億ドル、現在のレートで7兆5千億円市場という規模まで成長しています。
また、2027年には4兆7992億1000万米ドルに達する予想という世界的な成長予測もあります。
これは、ファクタリングが単なる一時的なブームではなく、新時代の資金調達手段として定着していることを示しています。
だからこそ、今のうちに準備しておくことが重要です。
以下の3つの「備え」を、ぜひ検討してください。
1. 知識の備え
ファクタリングの仕組みを正しく理解し、自社にとって最適な活用方法を見つける。
2. 関係性の備え
取引先との信頼関係を日頃から大切にし、いざという時に頼れる関係を築く。
3. 体制の備え
組織内でファクタリングを活用できる体制を整え、スムーズな実行を可能にする。
この3つの備えがあれば、「流れに乗る」準備は万全です。
バブル崩壊やリーマンショックを経験した私だからこそ言えますが、変化の時代を生き抜くには、柔軟性と準備が欠かせません。
逆張り投資家として培った「常識を疑う視点」と、順張りファクタリングの「流れに乗る戦略」。
この両方を使い分けながら、これからの経営を進めていってください。
足腰を鍛え、一歩一歩着実に歩み続ける。
そんな経営者の皆さんを、心から応援しています。